スポーツは心身の健康を高め、人生を豊かにする一方で、体に痛みや障害をもたらすことがあります。特に湘南地区では、ランニングやテニス、サッカーといった競技に加え、ゴルフや、サーフィン・ヨットといった海のスポーツが盛んです。こうした競技は独特の動作や負荷がかかるため、肩・腰・膝などに特有の痛みを引き起こします。
無理に我慢して競技を続ければ、慢性痛に発展し、競技人生や日常生活にも影響を及ぼします。ここで大きな役割を果たすのが ペインクリニック です。麻酔科を基盤とする痛みの専門医療機関として、痛みの治療とリハビリの橋渡しを担い、さらにアスリートのピークパフォーマンスをコントロールする視点をもって、地域のスポーツ愛好家やアスリートを支えます。
スポーツによる炎症、痛みは多岐にわたります
👟 ジョギング・ランニング
・腸脛靭帯炎(ランナー膝):膝の外側が擦れて炎症。長距離ランナーに多い。
・足底筋膜炎:踵から足裏にかけての張り・痛み。着地衝撃の蓄積が原因。
・シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎):すね内側の痛み。初心者・急な負荷増加で起きやすい。
🏌️ ゴルフの痛み
・腰痛・椎間関節障害:回旋動作により、腰椎後部に繰り返しの圧力が加わる。
・肩インピンジメント症候群:肩関節内部で腱板や滑液包が衝突、炎症を起こす。
・ゴルファー肘(内側上顆炎):スイング時の力みや誤ったフォームで肘の内側を痛める。
🏄 サーフィン
・肩関節周囲炎:パドリングの反復によって、腱板や肩峰下滑液包に炎症。
・腰痛(筋・関節性):テイクオフや波の乗り方による急激な伸展負荷。
・背部痛:うつ伏せ姿勢の長時間保持で広背筋・脊柱起立筋が過緊張。
⛵ ヨット・マリンスポーツ
・腰痛・首肩痛:不安定な姿勢を維持する中で体幹や頸部の筋肉が疲労。
・前腕・手関節の腱炎:ロープ操作やバランス保持で手首・肘に負担がかかる。
・微細外傷による関節障害:波の衝撃や繰り返す外力で関節にダメージ蓄積。
🎾 テニス
・テニス肘(外側上顆炎):バックハンドの反復によって肘の外側の腱が炎症。
・肩腱板損傷:サーブやスマッシュ動作で肩の腱に過負荷。
・膝関節痛:サイドステップやストップ動作で半月板や靭帯にストレス。
⚾ 野球
・リトルリーガーズショルダー(成長期):投球の繰り返しで肩の骨端線が障害。
・野球肘(内側側副靭帯損傷・離断性骨軟骨炎など):ピッチングで肘に高ストレス。
・腰椎分離症:バッティングや投球動作で腰椎に剪断力が加わる。
「動ける体」への回復
1. 痛みを抑えてリハビリを可能に
神経ブロックや薬物療法で痛みを軽減し、正しいフォームでのトレーニングを再開できます。
2. 再発予防の運動提案
ゴルフではスイングフォーム、サーフィンでは体幹強化、ヨットではバランス能力の向上といったように、スポーツ特性に応じたリハビリ提案を行います。
3. 整形外科・理学療法士・トレーナーとの連携
整形外科での診断、理学療法士による動作改善、トレーナーによる競技復帰プログラムを、ペインクリニックが「痛みのコントロール」を通じてつなぎます。
これにより、診断 → 治療 → リハビリ → 復帰の流れを切れ目なくサポートできます。
アスリートのピークをコントロールする
アマチュア・プロを問わず、多くのアスリートは大会や試合、コンペに合わせてピークを作る必要があります。ペインクリニックはスポーツ専門医と連携し、次のような支援を行います。
• 大会直前に痛みを抑えるブロック注射
• 練習強度を落とさずに行えるリハビリ提案
• 長期的に慢性痛を管理しながらパフォーマンスを維持
• 精神的な不安に寄り添う全人的ケア
これにより、「痛みを抑えるだけでなく、パフォーマンスのピークを計画的にコントロールする」という新しい価値を提供します。
まとめ
ペインクリニックは、
• 痛みの専門治療
• リハビリ提案
• 整形外科・理学療法士・トレーナーとの連携
• アスリートのピークコントロール
を組み合わせ、スポーツ愛好家からトップアスリートまでを支えます。
「痛みを取り除く」ことにとどまらず、安心して湘南のスポーツライフを楽しみ、最高のパフォーマンスを発揮するためのパートナーとして、麻酔科専門医が役に立てればと思っています。
解説
一般社団法人ペインケア 理事長 柿沼 勇太(かきぬま ゆうた)
麻酔科専門医、公衆衛生学修士。慶應義塾大学医学部を卒業後、大学病院や市立病院で15年以上にわたり麻酔科に従事し、疼痛緩和や気道管理を専門としてきた。痛みや睡眠障害、排泄の問題は生活の質(QOL)を大きく損なうことを実感し、日常の不調に対する予防的アプローチとセルフケアを推進している。